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           メール・マガジン

      「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第051号       ’00−07−07★

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     独創の<M>

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●<レーダー・チャート>

 

というのがありますな。 人やモノ、いくつかの特性項目のバランス状況や総体的

特徴を掴むのに用いる<クモの巣>風のグラフ形式。

 

円の半径に当たる評価軸を、中心点から放射状に、特性項目の数だけ等角度間隔に

配置し、各特性の評価値を(中心点ミニマム、円周上マキシマムとして)それぞれ

の軸上に刻む。 それらを結んで多角形とし、その形状で判定を下す、あれです。

 

特性項目の数が多く、しかもそのいずれにおいてもマキシマムと評価された場合は、

円に近い多角形になります。 それが<人柄>評価のチャートなら、その人は文字

通り<円満>な人、なのでしょうね。

 

 

人の特性を説明するのに、故F先生がこのグラフ形式を用いられたことは無かった

と思いますが、<M>を語るには具合が良いかも知れません。 何か<特徴>が

目に(時には鼻にも)付く<M>、それは<ある特性が突出した人>なのですから。

 

想定的にはあり得る<真円>は神様の話。 人間は、その形が歪んでいるからこそ

人間なわけで、その歪み方の特徴が即ち<その人らしさ>。 <H>はどの特性も

評価が高く、揃っている人。 低くはないがバラツキが大きく、突出や大きな凹み

のある人は<M>、どれも水準以下の<キャパ過小>や極端な形状不良が<L>、、、

 

という具合で、直感的に判別できそうです。 尤も、あらかじめ<クレペリン>で

基本的な選別が行なわれていれば、あまりにも<形>の良くない人が面接の段階に

たどり着くことはまず無いでしょうが、、、

 

*   *

 

故F先生が<心的健康度>の見地から挙げられた面接のポイントは、

 1)社会性: 人間関係に適応できるか

 2)考え方: 他人に通用するか

 3)反応ぶり: 仕事ぶり

 4)感情の表出: 適度であるか

 5)意志の強さ: ブレーキが利くか

 6)頭脳: (当時は、普通程度で良い、でした)

 7)環境:

 8)肉体的健康:

 

これらは単に、ご参考まで。 一応<クレペリン>がOKの人でも、いざ会って

みるとダメ、ということはあります。 面接者もまた人間、それぞれ<基準>を

お持ちですから。 それを放射軸に刻んでレーダー・チャート化すれば、判定の

精度や説得力を増すのに役立つでしょう。 

 

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●情報化社会だ、知識産業だ

 

と言われても当初はピンと来ませんでしたが、IT革命! となって気付くのは、

注目されている人たち、あるいはその筋の職場で働く人たちが、何か<普通>を

超えた資質というか、独特なオーラのようなものを漂わせていること。  同様、

 

<創造力>や<独創性>も当初、ただのお念仏に聞こえたものでしたが、今や

<超えた>人々を目の当たりにしてみると、我が国も<横並び社会>ではなく

なったことが実感されます。  しかし<超えた>人たち、何とも特徴的、、、

 

フム、特徴的、、。 そうか、いま求められているのは<M>的突出性なんだ!

 

興奮しなさんな。 アタリマエ。 なぜなら<独創的>とはユニーク、ほかの人

と同じではない、常識的でない、いわゆる<円満>優等生とは違う、ということ。 

 

もちろん、基本的な要件を満たしていなくては使い物になりません。 満たし、

さらに何かで<超えた>、即ち突出したところのある人、レーダー・チャートが

<M>的形状になるような人、、 なんですな多分、いま求められているのは。

 

その<突出>こそ、世の中を新しい方向へ動かして行くエネルギー。

 

たしかに、独創的な業績を遺した人々のフツーでない行動ぶりについて、昔から

いくつものエピソードが伝えられています。 時代や地域があまりにも遠くては、

ただのオハナシになってしまいますけれども、、、   その点、

 

 

NHKTV3<ETV2000>で、2回に渡って最近放映された「”独創”は

こうして生まれた」の主人公たちはあまり<遠く>なく、それだけに感じ

させられるところが多かったのではないでしょうか。  

 

その1は、青色発光ダイオードの開発者、元日亜化学工業の中村修二氏。

F式人柄16分類で言うと(私の目に狂いが無ければ)第二象限第二傾向、

通称<2−2>、の典型。  粘着力、推進力抜群の、いわば職人さん。

 

世界中を出し抜いた、と結果だけ言えば素晴らしいが、実際にはほとんど

イバラの道。 不幸とすら言える、<円満>にしていられない年月でした。

真性<H>なら多分選ばなかったような道、過ごさなかったような日々。

 

それでもそうする、は<M>的。 これ!と決めた対象に集中して能力を

発揮する時、人はやむなく<M>的になるのです。 そうでもなかったら、

<今まで無かったもの>など生めやしません。  <M>性は貴重です。

 

<2−2>に効果を発揮してもらうには、ハード、ソフト両面から最善の

作業環境を提供すべきなのですが、彼にはそれが無かった。 それが彼を

<M>に追い込んだ、のかも。  しかし<2−2>は、とにかく強い。

 

*   *

 

会社自体がローカルな存在、所属部署は組織内での少数派、化学系の集団

には異端の専攻歴、<上>の指示や支援の欠如、など重なって、当初から

<村八分>的状況に置かれた由。  意地と信念で、よくぞ頑張りました。

 

徳島大学電子工学科修士課程トップ卒業、即ち基本的には十分<H>の人。

社命でLED開発に着手したが予算欠乏、結晶製造装置も自作のほかなし。

その部品は生産部門からの払い下げ、最重要の石英管も切れ端しか貰えず、

数年間、その溶接作業に明け暮れして「神業!」の域にまで達したという。

 

それにしても石英管の溶接欠陥は避けがたく、また原料(カリウム、赤燐)

は爆発物、頻繁に爆発事故を起こしたそうで。 電気炉はバラバラになり、

燃えた燐が走り回る、、  ご本人も、よく怪我せずに、と回顧なさった。

能力や努力を超えた<運>の力も作用したのでしょう。  しかし、

 

業者は請求したカタログすら送って来ない。 頼んでも営業マンが訪れて

来ることは無い。 僻地、小企業ゆえの情報欠乏。 くやしかった、とも。

 

そんな四面楚歌的状況の中では、文献だけが頼り。 10年間で3種類の

新製品を送り出しはしたが、会社の知名度の無さが禍して全く売れない。

ついにキレて、「会社の言うことを聞くのをやめた」。 言われる通りに

しても、ろくなことは無い。  なら、青色LEDだ! と決心。

 

ついに<自らの意志で対象を決めたM>、になったわけです。

 

*   *   *

 

しかし、直接の上司がOKしない。 「大手にかなうわけが無いだろう」

という<H>的認識。  なまじ<見える>ので<立ち上がらない人>。

 

失敗したら辞める決意で社長に直訴したところ、アメリカ留学が許され、

フロリダ大学に1年間。  結晶製造法を学ぶ。  ところが、

 

博士号なし、発表論文なし(会社方針:論文公開不許可)で研究者とは

認められず、軽蔑的な<技手>扱い。 会議にも呼ばれず、口惜しさで

一杯にさせられたが、それをエネルギーに、ますます青色LEDに没頭。

 

当時、暗い青しか出ない炭化珪素SiC 、本命とされるセレン化亜鉛 ZnSe 、

結晶になりにい窒化ガリウム GaN、と3種類あった素材のうち、「大手と

同じことをしてもダメ、、」の体験から、GaN に賭けよう、と。

 

不人気で手がける人が、従って論文も少なかったが、影響を避けるため

に、それすら読まない。 頼るは自分の実験結果のみ、の<M>的頑固!

 

帰国後1年かけても結晶すら作れない。 が、朝7時には出社し、休むの

は正月だけ。 人とは口をきかず、会議には出ず、電話も取らず(なんて

こと、<H>には出来まいが)、装置の改造と実験に専念。 変人扱いを

されたそうですが、憚らず遮断・集中したところが<M>的。  やがて、

 

「ツーフロー方式」を着想。 GaN ガスが高熱の基板に暖められて浮いて

しまうので結晶しない、と見抜いて、GaN ガスを基板に押さえつけるのに

上から別のガスを当てることにしたら、見事な結晶が出来るようになった。

 

半年後、光を出すことにも成功。 会社は製品化を求めたが、無視し続け、

明るさの不足を「ダブル・ヘテロ構造」の開発で解決した上で、93/12/13

「明るさ100倍の新製品発売!」となるまで粘り通した。  その後、

 

青色レーザーにも成功。 他社も追随を試みるが、構造はコピーできても、

膜質は真似できるものではない。 違いは反応装置。 市販品を改造して

用いるのだが、そこに(あのクヤシイ)過去の経験が生かされているから。 

 

「ハイテクの元は技能だが、他社には<自分で手がけられる人>がいない。

だから、追い付かれることが無い。自分で作ることが大切」、というお話。

その<行動>性が<M>的。 思ったら、信じたら、行動せずにはいない。

 

故F先生の説は、「粘着力なきところ、独創なし」。 かじり付いていて

こそ、ヒラメキが訪れて来るのです。 その固執性もまた、<M>的特徴

の一つ。 <H>だとアチコチを見て、そこまでしなくても、とか、それ

ならばむしろ、とか、スマートに抑制や転換へ向かうもの。

 

*   *   *   *

 

以上を総括して中村氏、「合議では独創は生まれない。 可も不可もない

ところに落ち着かせようという心理が働くから。 一人で決めて、一人で

全てを手がけたからこそ GaN なる<非常識>を敢えてすることが出来た。

チームワークでは、独創することは難しいと思う」と。

 

F先生の資料によると、<2−2>の特徴は「地道な実行、責任感、粘り、

犠牲的献身、正義感、時に宗教的と言うべき理想主義」。 彼は、まさに

<それ>を演じた人だと思います。

 

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●F式判定法

 

が良いのは、体型・体質など、肉体的特徴とも連動させて解釈を下すことが

出来る点。 サーモスタット屋時代、私も何人かの<2−2>に助けられた

事実がありますが、彼らの行動様式の基調は中村氏と全く同様、うち2名に

至っては風貌まで中村氏に酷似しており、懐かしく思い出したくらいです。

 

 

その中村氏、サラリーマン研究者を<卒業>すべく昨年末退職されましたが、

その時アメリカからは10件以上の誘いがあったというのに、日本の大学や

企業からはゼロ。  依然として「和」志向?  それともブランド志向?

 

中村氏の個性はたしかに強烈。 <H>プラス突出の<M>、ですからね。

我が国の伝統的組織風土では歓迎されません。 強力エンジン付き人材が、

その能力一杯に飛翔することを喜ばない、許さない。 しかしこの時代に

至って、そんなこと言っていて良いんでしょうかね?

 

<H>がキャパシティを発揮して<M>に特質を存分に揮わせるだけでなく、

<H>自身も狙い定めて自らを駆り立て、迅速果敢かつ徹底的、即ち<M>

的にまで行動することがむしろ必要なのではないだろうか。

 

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番組の締めくくりは、カリフォルニア大学教授の道を選ばれた中村氏が永住

の決意で飛び立った日の姿。 <2−2>の職業適性は、技能者、弁護士、、

プロフェッショナルとしての単独行動に適したタイプ。 大学教授も一種の

職人さん、そりゃ良かった、頑張って下さいよー、、!

                          ■竹島元一■

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